野渕杏子インタビュー

聞き手|藤原美加

左側が野渕杏子|右側が藤原美加
左側が野渕杏子|右側が藤原美加

 

藤原|ダンスを始めたきっかけを教えてください。

 

野渕|ダンスは大学から始めました。

   京都造形芸術大学の映像・舞台芸術学科の舞台芸術コースになぜか受かっちゃったんですね。

   大学に入ってしまったら何とかなるだろうと思って一番最初に受かった所に入学したんです。

   1年生の時の最初の授業が、岩下徹さんのダンスの授業でなんじゃこりゃとなって。

   それで1回生が終わって2回生からは専門的な事に、となってきた時になぜかダンスを選択して    

   そのまま続けているという感じですね。

 

 

藤原|岩下さんの授業はどんなことをしたんですか?

 

野渕|10分かけて寝てるところから起き上がるのを朝の9時から12時くらいまでずっとやってましたね。     あとは野口体操をやったりしました。最初は起き上がるという動作を段々早さを変えていく事しか

   やっていなくて、これがダンスなのかなと。

 

 

藤原|きたまりさんとの出会いを教えてください。

 

野渕|1年生の時AからDまでのクラスがあったんですけど私はCクラスできたさんとは違うクラスでし

   た。クラスは違ってたんですけど目立ってたんですよね。

   小さいし、すごくおしゃれで可愛かったんです。

   あと舞台関係とか何かを経験してるんやろうなって、そういう面でも目立つ人でした。

   2回生の後期に山田せつ子さんの授業で誰かを振付けるという授業があって、きたさんが私を指名

   してソロを振付けられました。

   その時の振付けがKIKIKIKIKIKIの「サカリバ」のきっかけになりました。

 

 

藤原|自分で振付けて踊る時と、人から振付けられて踊る時の違いはありますか?

 

野渕|ありますね。やっぱり他人の視点は自分の発想にはないことばかりなので。

   あと役割が単独なので一つのことに専念出来るのに対して自分の中に振付家、演出家、ダンサーが

   混在していると中々冷静になれない。でも私はあまり細かな振付けは作らないんですよ、道筋は全

   部決めていくんですけど。でも今はあまり自分で作品を作ろうとは思っていないです。

 

 

藤原|今回の「TITAN」は今のところ即興性が強い作品だと思うんですが、稽古中の野渕さんはいつも

   周りをよく見てその場に最適なアクションを起こして下さります。

 

野渕|いやそんなこともないですよ。

   でもその場で一番必要ということしかしないでおこうと思ってます。失敗ばかりですが。

   今回はいかに目立たないようにいるかということが私の勝手なミッションなんです。

   こんなこと言ったらきたさんに怒られるけど(笑)

 

 

藤原|野渕さんは映画がとてもお好きだと聞いたことがあるのですが、好きになった経緯など教えてもら

   っていいですか?

 

野渕|1つ言えるのは映画は自分の職業ではないです、でダンスは職業なんですね。

   だからダンスのファンではないですが映画のファンではあります。

   映画を実際に見るようになったのは映画館に勤めてからですが、父が映画好きだったので子供の頃

   から映画を見るという環境は常にありました。

   小学校の時とかにBSでやっていた映画のテレビ欄を見て、この映画どういう映画なん?って聞いて

   も大体答えてくれてましたね。でも今年は5月くらいから忙しくてあんまり見れてないんですよ。

 

藤原|シネコンやミニシアターの映画など境なく見られますか?

 

野渕|はい、そうですね。結構ミニシアター専門に思われるけど、フランスに行ったときは「アベンジャ

   ーズ」を見に行きましたよ。世界で一番最初に公開されてるから見にいこうって。

   フランスのシネコンは良かったですよ、おしゃれでバーカウンターがあったりとかアトラクション

   みたいでした。価格も良心的だし。アメリカのB級映画とかもほんといろいろ見ますよ。

 

 

藤原|ダンスを見ていて面白いと感じるときはありますか?

 

野渕|自分の頭がついていかないような訳の分からないようなものを見たときですかね。

   あと単純にこの人どうなっていくんだろうとか、この人は何なんやろうとか、見入ってしまう瞬間

   に出会えた時です。

 

 

藤原|踊っていて良かったなという瞬間はありますか?

 

野渕|ん~自分の判断ではあまり言えないようになりました。

   決定的な出来事があって、以前山田せつ子さんに稽古をつけてもらって、その帰りに一緒に飲んで

   たんです。その時にほら世界水泳とかで世界新記録のラインが出るじゃないですか、そのラインを

   追いかけてみんな泳いでいて世界新記録を出す人は、そのラインを超え続けてるんですよ。

   でも、超えられない人はずっと追いかけ続ける。で、せつこさんに「野渕はいいとこまでいくこと

   はるけど超えたことはないね」といわれたんです。そうなんやって腑に落ちて現状として理

   解きました。実際超えてる人はずっと超えてるんですよね。

   私はそういうダンサーなんだなってわかった。そういうダンサーが仕事としてどういうことができ

   るのかと考えたときに、さっきの話でも言ったけど必要なときに必要なことだけをするっていう

   私のできることを稽古でしてます。

 

 

藤原|好きな食べ物はありますか?

 

野渕|水菜とかちりめんじゃことか豆腐とかですかね。甘いものはあんまり食べたいと思うことはないで

   すね。私結構偏ってるんですよ、1つはまったものがあったらずっと食べるんです。

   飽きるまで食べて飽きてからも、もうちょっと食べてみる。そこからがまた長いから。

 

   振り付けもそうだと思います。自分が飽きるまで続けないと分からないんです。

   分からないということは敬意だから、簡単に分かってはいけない。

   まずは分からないという状態にならないと、スタートラインには立てないんです。

   飽きて分からなくなるまで稽古をして、本番でまた更に分からないことに出逢えた時は面白いと感

   じます。本番で共演者の人の身体が舞台上で豊かになっている姿を、同じ土台で目撃できるのも贅

   沢ですね。あとやっぱり自己否定から入るから踊り終わった後には、もう反省が始まります。

    「まぁ、 いいか」 とも直ぐ思うから結局反省しないとも言えるんですけど。