白鳥達也インタビュー

聞き手| 川瀬亜衣

左側が白鳥達也 | 右側が川瀬亜衣
左側が白鳥達也 | 右側が川瀬亜衣

 

川瀬| ダンス、舞台を始めた理由って何ですか?…いつぐらいですか?

 

白鳥| 本当に始めたのは、大学なんですよ。 演劇、演劇研究会。そこで1年半くらいやってたのかな。

          その後はあちこち演技の勉強したりとか、それが最初は最初なんだけど。

          …なんかね。行き詰まっちゃってる時に、 演技とは関係なく、グループのセラピーみたいな呼吸

          法のワークショップに行って。ホロトロピックブレスワークっていう呼吸法、要するに過呼吸にす

          る、深い呼吸を速くすると言うもの。それを一定時間やり続ける。

          やってるうちに身体がほんとに自由に動いてきて、それでもう、それがすごい気持ち良くて。

          ああもうすごい流れてるっていう感覚があって。

          グループセッションだから 、それを観てる人もいるわけだね。そこで「なんかすごいよかった」

          とか言ってもらった感覚と、自分の動いていた時の感覚が、すごく一つになっていて。

          この時に、あ、動きっていいなぁって。身体の動きに焦点を当てた原点。

          自分の精神状態がどうこうと言うよりも、それが面白くてやってた感じがある。

          熱中してたのかなぁ。そこから、「あ、ダンスねぇ…」と。

          動くって言うのもありだったんだなぁ…と。

 

川瀬| この時の動きへの関心が、ヨガをやったりするのに繋がってきたりするんですか?

 

白鳥| 本来ヨガっていうのは、精神的な。動きやポーズがどうこうと言う事だけじゃなく、内面の事と

          か、瞑想の事とかにフォーカスするでしょ。そういう意味で直接繋がったかっていうと、繋がって

          なくて、むしろ、その動きの方。

          色んなとこに顔出してダンスをする中で、養成所とかに入ってた時に、バレエとかのテクニックも

          したけれど、どうもしっくりこないなぁ…と。自分の内面もそうだし。バレエだったら部屋に鏡が

          あるでしょ。クラス全体が映っているのを見て、 一人だけ違うとは言わないけど、 どうも、自分

          のはバレエじゃない…。それでもクラスには通ったけど、身に付かなかった。養成所をやめて、

          暫くは何もしていなかった時期があるけど、やっぱりまだ動きたいなぁって思った時に、身体的な

          訓練と言うか、基礎をした方がいいなと思った。

          西洋的なバレエの身体には合わないから、ヨガだと。ヨガ、インド=東洋だ、というイメージ。

    養成所で少しヨガをした時に「あ、これいいな」と感じた記憶もあって、ふとヨガのスタジオに顔

          を出した。ちょうど10年前だ。

 

川瀬| すごい、10年前…。そこからはヨガ、という感じですよね。

 

白鳥| そう。ダンスの基礎として持つものは、ヨガがいいんじゃないかと思って始めたのが、次第にダン

          スのためのというのが無くなっていって、ヨガだけになっていった。

          ダンスと言うか、パフォーマンス的に野外でやったというのはあるんだけど、白塗りしてやった

          り。まああれは舞踏とは言えないかもしれないけど(笑)いろいろやりましたね、一時期。

 

 

川瀬| 関東から関西に移ってこられたのは、農業、なんですよね?

 

白鳥| ああそうそう(笑)この話しはねー、ダンスの話と繋がりがある訳じゃないんですけどね。

          ヨガをやってく中で、玄米を食べたりとか、身体の巡りとかに興味を持ったりね。ヨガ自体もそう

          いくことを求めて来ることも多くて、よくそういう話をしていた。

          どこかで、ある時から自給自足のようなことをしてみたいという気持ちがあったことはあったし。

          あれもあった、震災があった時にそういう気運と言ったらあれだけど、そういうことに敏感に反応

          したこともあったと思う。

          僕は長野県生まれで、そっちに近々戻るのかなぁとか思ったその矢先に、本屋で面置きしていて、

          ふと手に取った本が、川口由一(かわぐち・よしかず)さんの自然農の本で。

          自然農か、よし行ってみようって。

          2012年の4月に、川口さんの所に行ったんですよ。赤目(あかめ)自然農塾っていうのがあってね。

          ふと単身顔を出してみたら、川口さんに興味もっちゃったんですね。

          ちょっと試しに奈良に行ったその場で、「田んぼかりたい人ー」と聞かれた時に「はい」と。

 

川瀬| 手を挙げてたんですね。

 

白鳥| 通えるかも分からないのに。1年間かけてお米を育てるのに、東京から奈良まで通うなんてねぇ。

          ヨガの仲間にも驚かれたよね。今はやってないけれど、畑も始めるようになったのを機に、その年

          の12月に移住ですね。そこからはもうずっとこっち。全然、ダンスのダの字もない。

 

 

川瀬| そうか、踊りたい気持ちではじめてダンスの基礎をとヨガに行き、ダンスからヨガに染まり、

          そこから農業に、と順々に。

 

白鳥| そう言われてみれば、そうだね。そういう生き方なんだね。

          何か成し遂げるというよりも、常に、何かをやることによって、そこから次の何か展開があって、

          また何か展開があってって。で、京都ですよ(笑)

 

 

川瀬| 演劇をもう一回というのは?

 

白鳥| それだよねぇ。奈良に来てから知り合った人で、彼女は邦画を見るのが好きな人だったんだけど、

          これがいいよとかって日本の映画を勧めてくれて。それである日、地元のレンタル屋に行って、

           貸りに行ってからはまっちゃって。今更思い出したかのようにばあーって、それも日本映画ばか

    り観だして。趣味みたいにいつも貸りて観ていくうちに、演劇をやってみるのもいいなぁ…って。

          ただ、まったく、脈絡がないよなぁって。それに関西にはどんなのがあるのかなぁって。

          地元の奈良県宇陀(うだ)市に榛原(はいばら)っていう町があって、そこに「やまと座」ってい

          う大衆演劇の劇場にも行ったけれど、これは今からはちょっと入れないよ、と思って。面白かった

          んだけど。では何があるんだろうと。ちょうどその頃、大阪の劇場、ウイングフィールドの置きチ

          ラシにアトリエ劇研の年間プログラムのチラシと、あとショーケースのチラシもあったのかな?

        あぁじゃあこれも観に行ってみるかと。行ってみるとそこで、アクターズラボっていうのを知っ

          て。それで京都に来たら、またダンスをやっているっていう感じ(笑)

 

川瀬| ラボの方は5月が本番。

 

白鳥| そうですね、連休明けですね。

 

 

川瀬| TITANへの出演は、KIKIKIKIKIKIのワークショップ「ケイコバ」に参加されて…という。

          ワークショップに行こうと思ったのは、何でなんですか?

 

白鳥| そう、あれは本当にたまたまだったんです。チラシで見て。ケイコバ、踊りたい身体募集という。

          劇研アクターズラボに通おうと思っていて、どちらかというと京都に来たのは、演劇をもう一度や

          りたいと思って、役者を今からでもまだ出来るんだろうかと思って来たのが最初だったので。

          そのラボの説明会があった時にちょうどやっていた、 Dance Fanfare Kyotoを観に行った時に、

          山海塾の岩下徹さんにたまたま久しぶりに会って、「ああどうも!」と玄関先で。

          Dance Fanfare Kyotoの contact Gonzoさんのパフォーマンスを観て、家に帰って折り込みチラ

          シをみた時に、ケイコバのチラシがあって、「あ、これ来週じゃん」と。これは今でも覚えてい

          て、6月4日かぁと。そうか、これも行こうかなぁという感じで行った。

          どこかこう、演技をすることに不安を感じていた。

 

川瀬| そうなんですか。もう一回演技をする事に?

 

白鳥| もう一回と言っても、随分昔の学生の時に、ちょっとかじっていただけだから。

          学生劇団といってもプロを目指していた人たちだから失礼だけど。不安だったんだろうね。

          錨がなかった。ダンスのワークショップだったら、ちょくちょく出たりしていて。

          あ、そこで岩下さんにも出会ってて知っていて。だから、ダンスの方は自分は参加しやすく馴染み

          やすい世界だった。それもあったかも知れず、ラボが始まる前に、まず、ケイコバに行って…と。

 

 

川瀬| 今月、マーラーの交響曲第1番が演奏された芦屋交響楽団のコンサートへ、私も白鳥さんも聴きに

          行けたということだったんですが、白鳥さんは聴きに行かれてどうでしたか?

 

白鳥| 感動しちゃって。感動しなかった?

 

川瀬| いいなぁって思いました。

 

白鳥| 僕、感動しちゃって。

          パンフレットの最初に、芥川也寸志さんの「アマチュア音楽は、音楽の本道である」みたいに書い

          てあったのが、スローガンってだけじゃなくて、本当にそのものだと思って。                            

           それにこの曲ってさ、マーラーのさ、金管楽器って難しそうだったね。

          何気なく、ぱーんと出すにしてもさ、すごくがんばっていて。

 

川瀬| そう、難しそうでしたね、うんーと頑張って出していて。

 

白鳥| そう、それでたまに出なかったりして。すると、目立つんだよね、またそれが、ぽよょっとか鳴っ

          ちゃったりすると。ああいうのが何とも言えないね、なんか。それだけ繊細さを要する楽器を、

          使ってるんだなって言う。

          僕は最初、指揮者を観ようと思って、指揮者の動きが面白いんだろうなって予想して行って、

          そしたら指揮者の動き自体は比較的シンプルに、楽器の着席しているエリア毎に引き出そう引き出

          そうと、丁寧にやっていた。各楽器のパートを本当に生かしているよね。生かしているだけに、

          どのパートも目立つ。

 

川瀬| その日、ベートーベンがあって、ラフマニノフがあって、マーラーだったじゃないですか。

          そこまでバイオリンが先導を切っていたけど、マーラーは結構…

 

白鳥| マーラーになってからいきなり金管楽器がね。最後は立ってたしね! 

          あれかっこ良かったな、何か感動したなぁ…。普段聴いていたら、この辺に座っているの楽器の人

          らが演奏していて、というところまで想像はできないけど、それも見えて。あれ3楽章のチェロの

          ソロかっこ良かったね。なんか、そっちがやりたくなっちゃう。

 

川瀬| ね(笑)結構あの、登場回数が少ないですけれど、打楽器も。

 

白鳥| あそこ、そうですね。(シンバル)かっこ良いよなあ、実際に演奏してるの観てると。

          かっこ良いし、配置がまたね、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、その後ろに木管金管、その後ろ

          に打楽器。あれがまた絶妙だな。