川瀬亜衣インタビュー

聞き手 | 玉邑浩二

左側が川瀬亜衣|右側が玉邑浩二
左側が川瀬亜衣|右側が玉邑浩二

 

玉邑|ダンスを始めたきっかけはなんですか?

 

川瀬| もともと美術とか芸術に興味があったんです。

    昔から絵を書いているとかそういったことが好きだったんですが好きなだけでやっていて、今考え

            ると、小さい時にテレビで子どもミュージカルの舞台を観て「自分もやる側の人になりたい」と思

            ったのが最初のきっかけでした。ただ、小さい頃からすぐにダンスとか演劇をはじめたわけではな

    いです。

            高校生の時から徐々に写真を撮ってみたり絵を描いていたりして、段々映画にも興味が出てきたん

    です。大学では、今後の役に立つかもしれないと思いプロデュースやマネージメントの学科に入り

    ました。

            美術の専門的な教育を受けたことはなく、美術や美術史のことを知りたかったのも理由の一つで

            す。大学中は、映画とは違う映像作品を知って今まで興味を持っていなかった絵画の方にも徐々に

            興味を持ち始めました。

            卒業する頃にはすごく興味の幅が広くなっていて、卒業後は美術の作品制作をしていたんです。

            でも作品制作の過程で行き詰ってしまって。立てたコンセプトに対してわざわざ体を動かして物に

            していくって一体どういう意味があるんだろうか?って。

            制作をする中でその部分がつながらなくなってしまって。

          「あ、これは頭を使いすぎているかもしれないな」とその時、思いました。

            だから、もう少し体を使って表現することをした方がいいんじゃないか、と考えていた時に自分が

    美術でやりたいことと近いことが書いてあるダンスのメンバー募集のチラシを見つけて受けに行っ

            た。というのがダンスをはじめたきっかけです。

 

 

玉邑| 募集のチラシにはなんて書いてあったんですか?

 

川瀬| なんて書いてあったんだろう。違うかもしれないけど「“場所の記憶”とか“身体の記憶”を掘り起こ

            して作品をつくっています。」というニュアンスのことを書いてあったのは覚えています。

 

玉邑| ちなみにそのダンスカンパニーは?

 

川瀬| 千日前青空ダンス倶楽部です。

 

玉邑| 千日前って舞踏ですか?

 

川瀬| そうです。白塗りをしたりします。

 

玉邑| その舞踏からはじまって今、コンテンポラリーダンスへ来たっていうのは何か理由があるんです

            か?

 

川瀬| いや、もともとダンスのジャンルを詳しくわかっていなかったので、ほとんど成り行きでコンテン

            ポラリーダンスをやってるところはあります。今はダンスをやっているけど美術制作をしていた頃

            からやりたいことは同じですね。

 

 

玉邑| 今はダンスをしたい?

 

川瀬| はい。踊って行きたいと思っています。それとはまた少し別で、踊りをつくるのもいいかもしれな

            いなと思っています。今年の3月に踊りをつくる機会があったんです。ダンスを自分が続けていく

                 のに必要と思ってはじめたんですが、どんどん面白くなってきて、今後も何かつくっていきたいな

            と思いました。それは踊りを、舞台で、です。

 

玉邑| 振り付けを?

 

川瀬| 振り付けもだと思います。

 

玉邑| 振り付けする時に、大事にしていることとかありますか?勉強していた絵のことを考えるとか。

 

川瀬| 絵画や写真から何かしら影響は受けています。

 

玉邑| 例えば?

 

川瀬| 例えば、1枚の絵があったらそのキャンバスの側面をどのくらい塗っているのか、表面でも塗り残

            しの余白の部分など、よく気になって観たりしています。わかりやすく「これがコンセプトです

            よ」っていう部分から漏れているような、ひっそり潜めてあるところに興味があります。

            それはダンスをつくるときにも言えるような。

 

玉邑| ダンスでいうとそれはどんなところですか?

 

川瀬| まだまだどう言っていいかわからないんですが、はっきり言い切るのではなくて抑えて言う言い

            方。踊りで言うと、ある一定の動きが何かの意味に見えてくる前に変えてしまうとか、スルスル抜

            けるような、動きの芯を抜いていくような。

 

玉邑| なんだか難しそうですね。

 

川瀬| そうですね。なかなか表現するのは難しいかもしれません。

 

玉邑|  川瀬さんは、もともと美術制作をやっていたから踊り手から踊りをつくる振り付け側へシフトしそ

             うな気がします。

 

川瀬| つくることもやっていきます。

           1回つくったらどんどんつくる気持ちが大きくなるのかも。やはりそことは別ラインで、踊り手と

            してもまだまだだと自分自身では思っているので、踊る側としてこれからもっと面白いことを見つ

            けていきたいなという部分もあります。

 

 

玉邑| 今まで映像も美術もダンスもやっているから今後ジャンルを横断した舞台作品をつくりそうです

            ね。

 

川瀬| うん。確かにジャンルがごちゃ混ぜになりそうですね。感覚的に1個ずつに対してのジャンルの

            境目があんまりないのかもしれない。

 

玉邑| 境目をつくりたくないという感じですか?

 

川瀬| うん。それはあります。かっちりハマるっていうことはあまりしたくないです。

            むしろ色んなものにハマって何モノでもなくなりたいところがあります。

 

玉邑| またそれも難しそうなテーマですね。

 

 

川瀬| うん。そう思います。でもやっぱり興味があって、今後も考えていくことだと思います。

 

 

玉邑| 今回の「TAITAN」はどういう経緯で参加されたんですか?

 

川瀬|「ケイコバ」というKIKIKIKIKIKIワークショップがあって、それがきっかけで参加することになり

             ました。ワークショップのチラシに“音楽で踊る”というのが書いてあり、そもそも自分がダンスを

             つくる時に音楽で悩むことがよくあって、無音で踊ることや効果音の中で踊ることの発想はいつ

     もあるんすが、曲を使ってそれを流しながら踊るのが本当になかったので何か考えるきっかけに

             なるかなと思って。前からきたまりさんの作品も興味があったのもあって。